ニューデリー駐在員から届く インドの「今」
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2005年来日講演記録2 私たちは、茶園の中でのたくさんのプロジェクトが必要です。人々がグループとなって働き、茶園の中や、他の茶園との関わり、また社会の他のメンバーと行う仕事もあります。多くの力が集まれば、解決へ の道も大変効果的になります。そういう訳で、茶だけを栽培する単一栽培は、片寄りを作りだし、最終的には自らを滅ぼすことになるのです。 茶は、森林を基盤とした有機体の一部として生息しているという考えのもとで、多次元的に行うプロジェクトこそが、確実に活力に満ちた創造的に進化しつづける有機組織体を保証するのです。 ダージリン紅茶業界は、現在、深刻な危機を経験しています。 それはバランスを欠いた単一栽培に起因するものです。表面的な手段によって支えられる、たった一種類の作物だけをあくまでも追求するという単一栽培が広く行き渡ってきたためです。 短期間での豊かさを追求することは、有機的組織体、すなわち森林や村、村民の社会のあり方、自立…自分たちの必要な食料を栽培することや家畜を育てる自活の道を否定し、奪うことであり、土壌や環境は、みさかいなく使用される肥料や農薬で生命力を失います。 健全な土壌があってこそ、健全な人類がはぐくまれるのです。 土壌は、地球的な要素であり、森林、茶、そして人間にとって、共に必要不可欠な存在です。そして土壌の健康は、森林、茶、人間の調和にみちた相互関係に依存しているのです。あるものだけを一方的に優先してしまう思慮に欠けた行為のために、そのバランスを崩すようなことが起きたとたん、問題は、大災害となって表面に立ち現れてきます。 とういことで、土壌の管理に対する総合的な理解、ということが生態的な(エコロジカルな)農業の焦点となってきます。そこで、非有機の通常の農業で行われている、即効性のある農薬や肥料を使用する必要を取り除き、それを必要としない状況を作るために、熟練した技術や計画が必要となってきます。 『環境を征服するような生き物は、結局は自滅する。』ということわざ以上に真実はあるでしょうか。 土壌から植物へと栄養素が行き渡る自然のサイクルは、すべてが相互に関わりあう営みです。土壌の共同体を形成する、生きている有機体が機能することによってのみ可能なのです。土壌の微生物は土地に含まれている鉱物と植物の成長に関して必要不可欠な関わりをもっています。動物と人間もこの生きている共同体の一部なのです。 そこに生きている有機体のために、動物や人間の排泄物が土壌に返還されないかぎり、全体的な生命を支える過程は損なわれ、サイクルは完結できないのです。
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