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2005年来日講演記録・質疑応答
■ 質問1 ■
1) 今見たNHKビデオにスターバックスが出てきましたが、スターバックスでもマカイバリ茶園の紅茶が売られているのですか。
2) 他の茶園と比較し、マカイバリ茶園の従業員は収入が良いと聞きまし
たが、その子ども達は外に出て行く程余裕があるのですか。
□ 茶園主 □
1) 今NHKビデオに出てきたのは、Tazo社社長のMr.スティーブです。スターバックスがこのTazo社を買収しましたので、現在彼はスターバックスの紅茶部門の社長をしています。彼と私は昔からの友達です。もちろん、マカイバリ茶園とスターバックスは紅茶販売の契約を交わしています。しかしスターバックスで扱っている紅茶の品質は、マカイバリジャパンが日本で販売しているものと比べると落ちます。
2) マカイバリ茶園には7つの村がありますが、その村々のコミュニティーには教育を含めた助成金が配られています。ですので、茶園の外に職を求めて出て行く子ども達もいます。しかし何人かはまた戻ってきます。ビデオに出てきた一人の子どもはコンピューターが得意でコンテストに優勝したりし、現在その方面の大学に通っています。
■ 質問2 ■
初めてマカイバリ茶園のビデオを観ましたが、バイオダイナミック農法の調合材(preparation)はいつ撒くのですか。また、広い茶園にどのように撒くのですか。
□ 茶園主 □
ダージリンは亜熱帯と温帯が共存する不思議な地域です。バイオダイナミック農法で使用する調合材(preparation)は、牡鹿の膀胱以外は全て、ここダージリンで入手することが可能です。
調合材を撒く時期ですが、冬に撒きます。調合材を堆肥に混ぜ冬場に散布します。調合材作りから散布の完了までに、5カ月間もの時間を費やします。この堆肥は天体と人間のエネルギーの結晶で重要ですので、茶園全体で組織的に作業を行います。
■ 質問3 ■
有機栽培を行っていない他の茶園の土が赤茶色で枯渇しているのを見てショックを受けました。ダージリンの他の茶園が、マカイバリの有機農法(バイオダイナミック農法)の取り組みを知り、何か変化がありましたか。
□ 茶園主 □
マカイバリ茶園の取り組みが他の茶園に影響を与えていることは事実です。ダージリン地区は、世界の茶園の中で有機農法を行っている茶園が最も多い地域です。
■ 質問4 ■
NHKビデオでは女性しか茶摘みをしていなかったのですが、男性は茶摘みをしないのですか。また、他の茶園ではどうなのでしょうか。
□ 茶園主 □
茶摘みをする男性もいますが、その数は少数です。女性の方が器用に茶摘みをします。やはり品質の良い紅茶を製造するには、品質の良い茶葉が必要です。他の茶園でも、男性と女性の茶摘みの比率は同じようです。
私個人の考えは、農業というものは、女性が家庭にいる為に発明されたものだと思います。男性は狩に出ますし、女性には出産の役目があります。
■ 質問5 ■
バイオダイナミック農法の考えを働いている人たちにどのように指導していますか。
□ 茶園主 □
茶園でマルチングなどを実行していく過程で、働いている人々は “sound soil, sound mankind”(完全なる土壌が、完全なる人類の基礎になる)を、経験を通して理解していきます。そして次世代にわたって継続することのできる、持続可能なバイオダイナミック農法を身につけていくのです。
また、茶園で毎日行われるミーティングでは、様々な情報交換が行われて います。例えば、有機栽培を行っていない他の茶園で起きた出来事(土壌 が枯渇されてきているなど)を知ることによって、マカイバリ茶園で行われていることの大切さを理解していきます。
■ 質問 6■
マカイバリ茶園は子ども達にとって、素晴らしい学びの環境になっていると思いますが、シュタイナーの教育理論に基づき何か取り入れていますか。
□ 茶園主 □
今回ここにご参加されている方で、お子さんを日本のシュタイナー学校に通わせている方がいらっしゃいますので、まずは彼にその体験談をしてもらいたいと思います。
○ 参加者の方 ○
長女を公立の小学校に通わせましたが、小学1年生の時、周りの友達が習い事や勉強ばかりで、本人は学校が面白くなくなりました。そして、肩こりになり、テストもなおざりに提出するようになりました。
妻がシュタイナー学校を見つけ、長女をそこに転校させました。当時イジメが流行していて、長女の友人がその被害に遭っていました。彼女はその解決をいかにすべきか考え、では自分がそのイジメの加害者と友達になれば、イジメは解決すると考えました。
長女は、物事に対し否定的にならず、根本的に前向きに取り組む姿勢を、シュタイナー学校で学んだと思います。
□ 茶園主 □
今、彼がしてくれた話が、あなたへの回答になっていると思います。
現在の都会の子どもたちは、親から、そして社会から、大きなプレッシャーを受けています。これが彼らの重荷になっているのです。
シュタイナーは、教育においても包括的な取り組み(holistic approach)を説いています。
マカイバリ茶園では、子どもたちはバイオダイナミック農法や、大自然に日々触れることによって、学校教育を超えた、自然と共に生きることを学んでいます。 (おわり)
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