白内障キャンプ現地レポート 6
手術2日目
2003年12月30日
手術2日目が順調に始まりました。今日は8人の手術が 予定され、そのうち2人がマカイバリ茶園からの患者さんです。
しかし、マカイバリ茶園からの患者さんをもう1人加えて欲しい、と茶園主ラジャさんから強い希望がありました。そのマカイバリ茶園からの患者さんは、あらかじめ手術予定の患者さんのリストから、国立クルセオン病院のドクターの判断ではずされていたのです。 米谷先生は、その要望を快く引き受け、結果として今日の手術予定の患者さんは合計9人になりました。 手術の手順は昨日経験済みなので、今日の手術はすべてが順調に進みます。 大勢の人が手術を見学しに集まりました
昨日と同じく、眼科ドクター3人をはじめ、手術室関係者の人たちが大勢先生の手術を見学に来ました。超音波の手術は、白内障を破砕する超音波装置だけでなく、手術用顕微鏡をコントロールする必要があるので、手だけでなく両手、両足を使って行われます。みな興味深々で、特に眼科ドクターは、手術をしている米谷先生に触れるくらい接近しながら先生の手もとだけでなく足まで見ていました。 両手両足を使って手術を行います。清潔に手術を保つため、消毒の終わった米谷先生に触れることは厳しく禁止されています。
写真左のドクターは、補助レンズを通して、米谷先生の手術を見ています。
昨日と同じく、どの患者さんも硬い白内障だったようで、手術時間は予定をオーバーしましたが、何とか最後の患者さんまでたどりつきました。いよいよ最後は、ラジャさんから強く希望されたマカイバリ茶園からの患者さんです。
手術の準備ができ、手術を始めようとしたとき、先生が大きくため息をつきました。患者さんの水晶体が本来の位置からずれていて、超音波での手術が不能だというのです。先生と現地のドクターとの間でやりとりがあった後、何事もなかっ たように手術が始まりました。結局、人工水晶体は後日挿入することにして、無事に手術が終りました。その直後に顕微鏡で、患者さんの眼を見せてもらいましたが、細い糸でとてもきれいに縫ってありました。 2日に渡る手術がすべて無事に終了した後、昨日手術した 7人の患者さんを診察しました。7人とも術後の経過は良好で退院することになりました。すべて問題なく手術が終り、 しかも手術翌日には全員が退院だったので、病院長の Dr.シャルマは通常ならありえないことだ、と喜んでいました。
16人の手術は無事に終了、昨日の患者さんは全員退院
この病院では、術後に合併症を起こすことが頻繁にあり、 白内障の手術のために術前術後で1週間入院するのが当たり前のようです。今回、米谷先生は厳しすぎるほど、清潔に手術 をすることに徹底していました。例えば、滅菌された器具を 滅菌袋から取り出す時に、少しでも器具が袋の外側に触れたように見えただけでも、その器具は不潔なものとして、使用 しませんでした。また、先生の手術用ガウンに誰かが少し触れただけでも、ガウンを新しい物と交換していました。 ここまで先生が清潔に手術をすることに徹底されていたのは、 手術後の感染を極度に恐れていたからです。
このような清潔に対する厳しい姿勢は、日本では当たり前とのことでした。 しかし、この病院のドクターたちは、このような清潔、不潔の 区別の感覚が日本ほど神経質にはなっていないようです。 インドと日本の医療のギャップを垣間見る思いがしました。
こうして2日間に渡り合計16人の白内障手術が全て終わりました。
写真上:国立クルセオン病院眼科手術室のスタッフの皆さん。